受益者連続型信託とは、受益者が死亡した場合の受益権の相続先を何代も先まで指定する信託です。

例えば、委託者を父とし、その所有の不動産を信託した場合を考えてみましょう。

① 当初の受益者は父です。
② 父が死亡した場合の「第二受益者」を母とします。
③ 母が死亡した場合の「第三受益者」を長女とします。
④ 長女が死亡した場合の「第四受益者」を長男とします。
⑤ 長男が死亡した場合の「第五受益者」を長男の長男(孫)とします。

遺言書では、このような場合、対応できません。

遺言書で指定できる権利は「所有権」です。
所有権には「所有権絶対の原則」という性質があり、「所有権は誰からも侵害・制限されることなく、自由に使用・収益・処分することができる」とされています。

ですので、遺言の場合、上記のように①~⑤の文言を記載しても、母が不動産の所有権を相続した段階で、母の所有となり、その後の使用・収益・処分は母が決めることになります。

しかし、家族信託において財産を信託した場合には、相続の対象となるのはく「所有権」ではなく「信託受益権」です。

信託は、所有権を信託受益権というく「債権」に変える性質があり、それにより所有権ではなくなり、所有権絶対の原則から解放されるので、上記のような受益者連続型信託のような相続先を何代も先まで指定することが可能になるのです。

では、この受益者連続型信託ですが、何代も先、100年200年先まで制限なく指定することは可能なのでしょうか?
答えは「NO」です。

信託法では、「信託したときから30年経過した時の受益者が死亡して、その次の受益者が死亡した時に信託は終了する」とされています。

分かりやすく、上記の例を用いて説明いたしますので、確認してみましょう。

父を受益者とする信託契約を結んでから30年経過後の受益者が③の長女だった場合、長女が死亡した場合、③から④の受益権の移転は可能ですが、④の長男が死亡した場合には信託が終了するということです。
なお、信託終了後の残余財産の帰属先の指定ができるので、
それを⑤の長男の長男(孫)に帰属するように定めておけば、委託者の想い(最終的には長男の長男(孫)に帰属するようにしたい)は実現することになります。

以上、受益者連続型信託の期間についての解説です。