委託者の方の中には、もし自分に万が一のことがあった時に、受託者の方が適切に資産運用をしてくれるのか不安に思う方もいるかもしれません。

どんなに信頼している方に受託者としての役割を任せたとしても、その不安を完全に払拭するのは難しいでしょう。

受託者の方が、資金の使い込み等の契約違反を行う可能性も0ではありません。

しっかりと資金運用がされるよう、見守る役目を担う方がいれば、精神的不安を和らげることができますよね。

家族信託において、その役割を果たすのが「信託監督人」です。

信託監督人は受託者と対立する立場ではなく、相談相手として寄り添う味方です。

信託監督人を設置することで、委託者の方はもちろんもこと、財産管理に直接関与しない受託者以外のご兄弟等にも安心してもらえるという側面があります。

それではこの「信託監督人」は、どのような方に任せるのがいいのでしょうか。

「家族内の誰かに任せればいいんじゃない?」そうお考えの方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、その選任はあまりおすすめできません。

何故なら兄弟けんか等を誘発する可能性があり、話自体が非常にややこしくなってしまう危険性を含んでいるからです。

そのようなトラブルを防ぐためにも、信託監督人は客観的かつ冷静な業務チェックができる方であり、かつ様々な状況に対応できるよう、法的知識を備えた方になっていただくのが良いでしょう。

具体的には、家族信託の実務に精通した法律専門職(弁護士、司法書士等)が当てはまります。

それでは信託監督人としての業務はどのようなものがあるのでしょうか。

以下にまとめましたので、確認していきましょう。

  • 受託者の方の業務内容をチェックする
    受託者及び受益者の方に代わり、家族の想いに沿った財産管理や財産給付ができているかをチェックする。
  • 重要な判断に関する同意やアドバイス
    信託不動産の売却・建て替え等重要な財産の処分時に、客観的にその重要性や妥当性を検討し、同意不同意を判断することで、受託者の方の暴走や悪質な業者に騙されることを防ぎます。
  • 契約変更や想定外の事態に対応
    契約内容を変更すべき場合に受託者の方と協議したり、受託者の方が欠けた場合に新しい受託者の方を指名するなど想定外の事態に際して客観的に対応すること。

以上が、家族信託における信託監督人の解説になります。

信託監督人を設置し、より安全に資産運用をしていきましょう。